こんにちは。
みんくるのそんそんです。
さる7月27日に第40回みんくるカフェ「フィンランドのダイアローグ」を開催しましたのでご報告いします。今回は、患医ねっとが主催する「医療と福祉を語る会」(こちらは第80回!)との共同開催でした。仕事終わりのおよそ20名が根津のみのりカフェに集い、飲食をしながらの楽しい会となりました。今回のテーマは「フィンランドのダイアローグ」でした!
まずは、代表の孫よりミニトーク。
フィンランドで1980年代に始まった精神保健改革としてのオープンダイアローグ。精神疾患の患者を「対話」で癒す取り組みです。この実践により、フィンランドの西ラップランド地方を中心に、薬物治療の使用量が1/3から1/4に減少し、入院病床数も1/4になりました。当時、欧州を中心に起きていた「脱施設化」の流れと軌を一にして、フィンランドでも精神患者を入院して治療するのではなく、地域の共同体・ネットワークの中で回復させていこうという流れが起きたのです。
そして、フィンランドのダイアローグの根底に流れているのがミハイル・バフチンの「ポリフォニー(多声性)」の概念です。ドストエフスキー小説の研究者だったバフチンは人間存在そのものが「対話」の中で形成されていく存在であること、対話は、常に発話に対して応答されるべきこと、その一つ一つがどれも主役になることなく対等であることなどを主張しました。今や、オープンダイアローグは欧州を中心にアジアやオセアニアなどにも広がって来ています。日本では、東京や埼玉で一部の精神科クリニックなどで実践が始まっています。「今後、医療に限らず、教育や福祉など多くの領域で予防的な取り組みも含めて、ダイアローグが広がることに貢献していきたい」との言葉で締めくくられました。
そのあとはグループトークでした。4テーブルに別れ、みのりカフェの美味しいパスタやドリンクを楽しみながら、お互いに感じたことを自由に話されていました。
「果たして日本には対話の文化が根付くのか」
「そもそも日本では本音で話せる対話の場が少ないのでは」
「ダイアローグの取組みは人間性を回復させるものではないか」
「医師などの権威性を感じさせない対話の場作りは難しいのでは」
「文字だけのコミュニケーションと対面のダイアローグの違いは?」
「対話の場で自分のことについて多くの人が話してくれている安心感があるのでは」
「医療というシステムの中で、まずは当事者が自由な話をしても受け入れられる安心感があるのでは」
「医療の場は専門分野や臓器別に分断されている。そもそも人間全体を見るというところにダイアローグは戻す力があるのでは」
最後に話題提供者の孫からは「フィンランドでも80年代はまったく同じ状況でした。つまり、医師主導の権威主義的な医療だったのです。それが看護師や心理士を中心に、脱権威化、脱施設化という人間中心主義的な運動の中でオープンダイアローグが普及しました。今の日本でも実はそうした「水平性」を求めるニーズが高いからこそ、今後求められていくのではないでしょうか」と、希望を感じるコメントで会は終了しました。
最後に、患医ねっとのみなさま、また参加していただいたすべての方に感謝申し上げます。