現在さまざまな場所で、対話を基調としたカフェ活動が開催されています。このカフェ活動の源流には少なくとも以下の3つがあります。1つが哲学カフェ=サイエンスカフェ、もう1つがワールドカフェ、そして、アルツハイマーカフェ(認知症カフェ)の流れです。
哲学カフェは、フランスとイギリスにその起源をたどることができます。1992年にフランスの哲学者マルク・ソーテは「哲学を大学から市民の元へ」というコンセプトのもと、パリの街角で哲学カフェを始めました。パリにはもともと「カフェ」文化があり、カフェが市民にとって憩いの場であると同時に、談論や思索の場でもあったことも影響したのでしょう。その後、イギリスのダンカン・ダラスはそれを手本にして、哲学カフェの科学版であるサイエンスカフェを始めました。1998年のことです。目的は、科学を議論する文化を作ることにありました。このサイエンスカフェが日本に紹介されたのは2004年。その後、瞬く間に日本中に広がりました。
2つ目のワールドカフェですが、こちらは1995年にアメリカのアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックが開発したミーティングの手法です。その始まりは、会社のミーティングがマンネリ化している際に、休憩のコーヒータイムでの話し合いの方が活性化する、という発見からでした。ワールドカフェでは、カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、小グループでの話し合いをメンバーの組み合わせを変えながら進めていくという手法をとります。参加者はテーブルを移動する中で、全員と対話しているような感覚を味わうことができます。こちらも2000年代に入って日本に紹介され、現在ではさまざまな場所で実践されています。企業における組織開発、地域コミュニティにおけるまちづくりのための対話、そして昨今では医療・保健・介護の分野でも、ワールドカフェを用いた対話が行われるようになりました。
もっと詳しく知りたい方へ >
■マルク・ソーテの著書『ソクラテスのカフェ』
■アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックスの共著『ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創る~』
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カフェ活動の源流02