前回紹介したサイエンスカフェやワールドカフェが、対話を基軸としたカフェ活動だったのに対して、障がいをもった方とそのサポーターへのケアを目的とした活動にアルツハイマーカフェがあります。これは1997年にオランダで始まりました。オランダアルツハイマー協会と心理学者が協力して開始し、認知症患者、家族、友人、地域住民、専門職などが参加して、情報交換やさまざまなアクティビティを行います。オランダでは全国200カ所以上で開催されているそうです。日本でも2000年代に「認知症カフェ」が京都などを中心に始まり、現在では全国に広がっています。
英国でのサイエンスカフェのスタイルは、1人のゲストが20分ほど話題提供を行い、ドリンクなどの休憩時間をはさんで、ゲストと参加者の間の対話が1時間ほど行われます。そこで重視されていることは、多様な意見を交換すること(多様な参加者を受け入れること)、講話ではなく対話と意見交換を中心とすること、参加者は専門家だけでなく主に一般市民で構成されること、などでした。このフィロソフィーを、みんくるカフェも受け継いでいます。
医療や介護・福祉の分野でのカフェ型の対話活動は、みんくるカフェ以外にも、主なものに北海道発の「ケア・カフェ®」や、東京を中心とした「ペイシェントサロン」があります。ケア・カフェ®は、医療介護福祉領域間の、特に現場においてのバリアをなくす目的で行われているもので、ワールドカフェの手法を用いて、ケアに従事する人々が対話と意見交換を行っており、現在30を超える都道府県で開催されています。ペイシェントサロンは、難病患者が主体となり始められた活動ですが、参加者は患者に限らず一般市民や専門職も加わり、カフェ型の対話手法を用いて意見交換が進められています。
>
カフェ活動の源流01