2014年5月15日に開催した第29回みんくるカフェ「作業療法士の扱う”作業”を健康に活かすには?」の報告です。医療職同士や一般の方々が作業療法という聞き馴染みのない仕事や作業について対話する時間を過ごすことが出来ました。
今回は、ゲストスピーカーに日本作業療法士協会理事の谷隆博さんをお呼びして、作業療法ってどんなことをするのかについてお話して頂きました。以前、職業を尋ねられた際に「作業療法士です」と伝えると「えっと、土木作業の関係ですか?」と間違われたというおもしろエピソードを交え、作業療法という名前がなかなか馴染みが無いということや、作業療法士は1つの専門性にこだわりすぎず、その人に合わせて色んな作業を支援して行くというお話をしてくださいました。
その後は各テーブルでの対話の時間です。いくつか、テーブルごとに出た意見を紹介します。
「健康を支える作業とは?」
・その人にとっての「作業」「健康」「自分らしさ」って何か?
・日常行為そのものが「作業」という要素がある
・ルーティンが自分にとって意味のあるかたちでリズムを取って出来ること「ありのまま」が大切
「今までやっていた作業活動は違う活動でも代替出来るか?」
・バスケが出来なくなったけどゴスペルが出来る(共通する意味はチームワークの実感)
・食事を沢山食べることが出来なくても料理を作ることが出来る。
・代替するためには役割の転換が出来ることが大切。ex.「自分が作業をすることが出来なくても教える、人から頼まれごとをするということは出来る」
「最期までやっていたい作業活動は?」
・自分の意志が表示出来なくても最期までやっていたいものをやるためにエンディングノートを準備しておく
・出来なくなってきたことをきちんと受け入れる自分、周りの人にそのことを伝えられるということが大切
・「作業=行動、目に見えること、動くこと」と思っていたけど、心とか思いも動く。その捉えにくくて表現しにくいことを敏感に捉えられることが大事。その心の動きを大切にしたい。
最後に、参加者アンケートより一部ご紹介します。
「作業療法の作業は、行うことだけでなく『思うこと』『考えること』などの精神的なことや社会的なことも入るということ」
「作業療法・作業活動といえば、動くことや日常活動というイメージだったが、今回参加し、作業には人の気持ちや人生など多くのことが含まれていると思いました」
「『最期まで自分らしく生きることは』を考えさせられる機会を得ました」
「患者さんの『作業』を見つけたり、気付けたり出来るお手伝いが出来たら嬉しい」