第34回みんくるカフェ「認知症について語り合おう!in文京~認知症に優しいこコミュニティケア~」を2月14日に文京区本郷の金魚坂カフェで開催しました。
今回は、文京区に事務所を構えるNPO法人市民科学研究室(以下、市民研)さんとの共同開催で、みんくるプロデュースが行なうカフェとしては初めて地域を限定して開催しました。テーマは、コミュニティでのケアの力が今後ますます重要となる「認知症」です。当日は、カフェの窓から差し込む光が心地よいお日柄で、文京区にゆかりのある方が12名参加してくださいました。スタッフを含め総勢19名で、美味しいお茶とアップルパイをお供に対話を行いました。
当日のタイムスケジュールは以下です。
・オープニング、アイスブレイク(30分)
・ミニトーク/認知症に関する事例紹介など(30分)
・対話セッション/オープニングクエスチョン「認知症になっても自分らしい暮らし方をするために必要なことは?」(80分)
・全体セッション(10分)
・明日から自分にできること(10分)
今回は、よりよい対話を目指して参加者が共通の知識を持つことを目的に、対話セッションの前にミニトークタイムを設けました。プログラムは、(1)家庭医でありみんくるプロデュース代表の孫より認知症についての医学的な基礎知識についてのお話、(2)保健師のあべべより文京区での認知症の取組みについて簡単に紹介、(3)市民の立場から市民研代表の上田さんと、みんくるスタッフのじゅんこさんからのお話。上田さんからは、認知症の方が語られた体験談の紹介と日本各地で行われている認知症に対する地域での先駆的な事例の紹介がありました。当事者の想いから課題を知り、その課題を解決するために行われている様々な事例を参加者みんなで共有しました。じゅんこさんからは、新宿区にある「くらしの保健室」の紹介があり、都心で行われているコミュニティケアの一例を知ることができました。
対話セッションでは、2回に分けて対話をしました。1回目の対話は「認知症になっても自分らしい暮らし方をするために必要なことは?」というテーマで行いました。2回目1回目の対話を通して得た新たな疑問をテーマに対話を行いました。各グループのテーマは
「壁ってどんな壁があるんだろうか?」
「ひとりひとり違う認知症の方に関わり方やサポートをどうするか?」
「境界にいる人たちの暮らしをどうしたいか?」
というものです。
家族を介護する介護当事者の人、介護を経験し終えた人、また全く介護を経験していないが、お仕事として何かできるのではと考えている人など様々な立場から対話を行いました。
今回の企画にあたって、自分なりに文京区の認知症に関する取組みを調べました。今後、認知症の方が増えていくなかで、介護保険サービスだけでなく、市民や地域がケアを提供していく必要があります。しかし、実際にはケアを必要とする人に直接的なケアを実施できる市民は少ないですし、そういったシステムもまだまだ充実しているとは言えない状況です。
対話の中で「認知症の方にアートの面で何かしてみたい!」と言った発言が出たり、参加者それぞれができることを書いてくださいました。また「不完全な普通」というワードも出てきて、認知症でもそうではない人も、人それぞれの不完全な状態をお互いに受け入れ合える風土になると良いといった、概念的な共通の理解を導き出すことができました。みんくるカフェを通して、市民と医療者がともに未来志向で語り合い、今何が求められていて、それぞれにできることは何なのか、そしてどこに向かうのかを一緒に考えていくことの大切さを痛感しました。