さる7月9日(土)に「みんくる本郷・千駄木まち歩き~漱石と鴎外の足跡をたどり、歴史と地域の魅力を再発見する~」というイベントを開催しました。雨の中の本郷・千駄木まち歩き開催レポート第2弾です。
東京大学本郷キャンパスの正門から出た一行は、本郷通りを北へ向かい、東大前駅のところを右に入りました。すぐに左に折れると、そこは東大地震研究所にそった道となっており、車や人があまり通らない閑静な通りになっています。左に朱塗りの表門がある西教寺を見て、少し奥に進むと左手に「更新館」というレトロな旅館が見えました。1948年創業、木造瓦屋根の昔ながらの旅館です。
本郷はその昔、旅館が数多くあった旅館街でした。
その理由は、旅館は下宿屋を兼ねており、学生街であった本郷に需要が多くあったためです。しかし今年の3月には朝陽館という有名な老舗旅館が廃業し、残るのはこの更新館、そして鳳明館、機山館(しかしホテル形態)くらいになってしまいました。
そのまま道を進み、地震研にそって右に折れると、そこは緩やかな坂になっており、S坂(新坂・権現坂)と呼ばれています。ここは森鴎外の「青年」という作品に次のように書かれていることから「S坂」と呼ばれるようになりました。「地図では知れないが、割合に幅の広い此坂はSの字をぞんざいに書いたように屈曲してついている。」
確かに、坂を下ると左に根津神社が見えて来るあたりからSの字に屈曲しているのが良く分かります。
S坂を下り、左手に根津神社の大鳥居を見ながら進むと、右手に古い染物屋があり、その壁のところに「根津遊郭の跡地」とあります。ここは江戸以来、岡場所(遊郭)があった場所なのでした。吉原に次ぐ規模の大きな遊郭だったのですが、一高・東大がこのすぐ隣に出来るに及んで、明治20年に根津遊郭は廃止されました。日本を代表する大学のすぐ側に遊郭があるとはけしからん、ということだったのでしょう(笑)森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」にも根津遊郭に通い詰めて退学になる医学生の話が出てきます。
そこをさらに不忍通り側に進むと「みのりカフェ」があります。ここでお茶とケーキを頂きながら休憩となりました。(続く)
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