「対話」とは?「コミュニケーション」とどう違うのか?
「対話」というと、その原点は古代ギリシャのソクラテスまでさかのぼることができます。あらためて「対話(ダイアローグ)」とはなんでしょうか。それは「コミュニケーション」や単なる「会話」とも、少し違った意味を持っています。今回は、医療コミュニケーションにおける「対話」の意義について考えてみたいと思います。
「対話」と「コミュニケーション」の違いに関して、デヴィッド・ボームはその著書「ダイアローグ」の中で。語源にまでさかのぼって次のように述べています(文献1)。
「コミュニケーション(communication)」の語源は、ラテン語の「commun」(共通の)から来ており、つまり「何かを共通のものにする」ことである。すなわち、ある人から別の人へ、できるだけ正確に情報や知識を伝えるという意味だ。一方、「対話(dialogue)」の語源は、ギリシャ語の「dialogos」に由来しており、「logos」(言葉)と「dia」(〜を通して)、つまり言葉を通して意味をやりとりするという意味である。これは複数の人の間に一種の「意味の流れ」が生じ、そこから何か新たな理解が生まれてくる、という意味である。
つまり、「コミュニケーション」が発話した人が想定した意味を相手に伝えるやりとりであるのに対し、「対話」は双方向的なやりとりであり、かつ、お互いのやりとりから新たな意味が生まれてくるような行為ということになります。「対話」においては「お互い形作る」ということが重要なので、自分の意見を相手に伝えるということよりも、お互い対等の存在であり、お互いの意見を聴き合い、相手の意見や考えを理解するということが重視されるのです。(続く)
[文献]
1)デヴィッド・ボーム著:ダイアローグ–対立から共生へ、議論から対話へ. 金井真弓訳. 英治出版. 2007年
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医療者と患者の「対話」がなぜ必要か?(02)