みんくるスタッフのあべちゃんです。
3月12日に、文京区のアカデミー茗台にて「第38回みんくるカフェ いつまでも美味しく食べるために~飲み込む力と老いを考える~」をNPO法人市民科学研究室と共催しました。今回は、東京都三鷹市を中心に嚥下障害や低栄養に関する様々な活動に取り組む亀井倫子さん(三鷹の会代表・訪問診療歯科医)をお呼びして、実際に嚥下食を試食しながら、歳を重ねても美味しく食べ続けるためには何が必要かを対話を通して考えました。
ゲストトークでは、亀井さんが歯科診療を通して感じた嚥下機能の衰えによって生じる様々な課題について知ることができました。急な嚥下機能の低下は、療養できる施設の選択を狭めたり、終末期における食の楽しみや生きがいを喪失させたりします。そこで、亀井さんは嚥下機能の低下の早期発見や予防のための取組みをしていらっしゃいます。また食べられなくなることを考えるためのきっかけづくりや、嚥下食を身近に感じられる場作りにも取り組まれています。
対話のオープニングクエスチョンは「歳をとっても美味しく食べ続けるためには?」
食べる楽しみを知る機会としてのコミニティの必要性といった、食べること+コミニティについての話題が活発になりました。また本質的な部分で、食べる意欲が生きる意欲に繋がるといったことや食と幸せといった話題も出ました。
中間振り返りを経て、各グループの次のテーマは以下のようになりました。
・グループ1:諦めないようにするベースづくり
・グループ2:どういったコミニティを作ったらよいか?
・グループ3:小さい頃から食を楽しんでいくためには?
・グループ4:食べないことはいけないことなのか?
グループ3では、食を楽しんだり大切にできていない背景として、体験不足があるという意見が出ました。子ども食堂など食に絡んだ楽しい体験の必要性が話されました。食事だけでなく配膳や片付けもみんなで行うことが大切であり、それによって人と人を繋げるという食の醍醐味を体験することができるといった対話になりました。
今回は、三鷹の会の協力のもと、嚥下食を実際に試食しながら対話を行いました。同じ嚥下食を食べ、その感想を語り合うことから始めた対話は普段よりもスムーズにグループメンバーの心理的な距離感を縮めたように感じました。また嚥下食を初めて食べた参加者も多く、テーマに対して共通の体験が持てたことも、対話を深めるきっかけになったようです。
参加者アンケートでは、「食は生活の要であり最後まで食べる喜びを支援したい」や「嚥下食だけでなく”食べる”ことについて知り考えることができた」といった感想をいただきました。
人々の生活の中心といっても過言ではない”食”について、嚥下食を切り口にさまざまな考えを得ることができました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。